なに? と見上げれば「授業始まるよ」と言われて、教室へ引き摺られた。
次の授業に堂本さんの姿は勿論なくて、先に女子トイレから出て来たクラスメートは普通に受けていた。

「祈璃の言う通り」

昼休み、菓子パンを頬張るあたしは「なあに?」と返す。

「三次元の女子は複雑」

「え、そんなこと言ったっけ?」

「あのひと」

「無視……?」

「女子の中心から底辺に転落だね」

あのひと、と言われたのは堂本さんだってことくらいは分かる。女子の底辺ねえ、もぐもぐと口を動かす。

アキはコンビニのおにぎりを二つと購買弁当が机の上に乗っていた。