口数は少ないけれど、野立さんはさっぱりとした話し方をする。

私がバスケ部だったことを知っていて、こういう接し方をしてくれる。

その後姿を見ていると、教室の外にいのりちゃんの姿が見えた。

なんとなく教室を出てみるといのりちゃんが携帯を持ちながら立ち止まる。振り向いたその目と合った。

「堂本さん」

「どうしたの?」

聞いてみると、携帯の画面を見せながらいのりちゃんが言う。

「アキ、朝から委員会の方に行ってて姿見てないんだけど、電話出ないんだよね」

「あ、昼に会ったとき、今日携帯忘れたって言ってた」