駅で別れるまで、あたしと堂本さんは会話を一切しなかった。 同じヌイグルミを持って歩いているのでちらちらと周りからは見られたけれど。 「また明日」 別れて、あたしとアキが一緒の電車に乗る。 「ごめんね」 座ったあたしは、前に立ったアキの荷物も持った。 「それは俺に言う言葉じゃない気がする」 「女の空気の悪さは尋常じゃないでしょう」 「それはナツと母親で経験済み」 笑うアキにつられて笑うことは出来ない。 「……堂本さんに酷いこと言っちゃった」 あたしの隣の人が降りる。アキが隣に座った。