朝食を終えると、エリックとフローラはフラフラと散歩をしていた。







「フローラ、今日も中庭に行こうよ!」


「そ、そうね」





フローラは昨日の事を思い出すと、エリックの顔をまともに見れなくなってしまった。





ーー昨日のキスって、何の意味があったの…?
ーー意識してるのって私だけ?…エリックはいつも通りだし…。








「………ラ!フローラってば!」


「え!何いきなり?」


「いきなりって…僕さっきから呼んでるんだけど。」


「あ、ごめん!」






エリックは少し周りを見回すと、小声でフローラに話しかけてきた。

自然と距離も近くなる。


「昨日のイケメン王子があっちから歩いて来てるのが見えるけど…」


「えっ⁈」





見るとそこには、涼しい顔をして歩いてくるブライアン王子がいた。





「私あの人苦手…」




そう言ってフローラはエリックを盾にするようにして隠れた。





「あんまり僕から離れないで。」


「うん!」






二人が静かに話していると、噂のブライアン王子が現れた。






「フローラ様、昨夜は大変申し訳ない事をいたしました。」


「弁解はいらないですよ。」

フローラは目も合わせず言った。




「えっ…!」


少し期待したのかブライアン王子の顔が明るくなった。






「私の血を求めて近づいて来たという事が分かったので充分…」


「違いますよフローラ様!私は本気なんです!船から降りて目が合った時から…ずっと気になっていました!」




「…そんなこと…」





フローラは心の中でため息をついた。


目が合って気になるとは、中学生のような発想である。





「…でも…」



「結婚してください!返事は後でも構いません!いつまでも待っています。」





そう言ってブライアン王子は中庭を後にした。


「いきなり結婚って…展開早すぎでしょ…。」


フローラは静かに呟くと、今度こそため息をついた。