「あ、夢くん。こっちこっち」
 
私はその日、夢くんの空きコマだという昼下がり、彼を学食へと呼び出した。
 
想太に会わせるためだ。

「梨聖ちゃん。待った?」

「待ってないよ。今きたとこ」
 
私は学食の前で彼を待っていた。
 
結構長いこと、待っていた。
 
だけど、全然苦にはならなかった。
 
好きなひとと、これから会えるというドキドキと緊張感を、楽しんでいた。
 
やっぱり、何度見ても、夢くんは素敵なひと。
 
栗色の毛、黒いメガネ、しゅっとした顔立ち。
 
優しい王子様。

「お昼は食べた?」

「うん。帆乃香たちと、街に出てラーメン食べてきた」