「シートベルト締めてね。事故にでも遭って、きみを失いたくないから」
 
また夢くんは私を言葉でときめかせる。

「夢くん、口が上手いよね」
 
私は言われたとおりにベルトを締めた。

「そう? 思ったことを口に出してるだけだよ」

「素直なのね」

「そうさ」

「嘘がつけないタイプ?」

「それはどうかな」
 
私はそれ以上深くは突っ込まなかった。
 
彼はゆっくりとサイドブレーキを下げる。
 
そして、クラッチを踏むと、ギアを1速に入れた。

「しゅっぱ~つ。しんこ~う」