「もう出ていってよ!出てって!」


嘘、違うの。

行かないで。



亮は俯いたまま部屋を出て行ってしまった。


あたしはその場にしゃがみこんだ。


本当の気持ち、何も言えなかった。

素直になれなくていつもぶつかってばかり。


本当は嬉しかった。

亮があたしのこと想ってくれてたこと。


嬉しかったのに。


意地張ってどうしてあんなこと……



「もう終わった……最悪のクリスマスだ…」


出窓から少し曇った空を見上げていると……


“まだ何も始まっていないじゃないか”



どこからか、そんな声が聞こえた。