あ! 懐かしい……。


昔と変わらない場所に立てかけられたそれを見つけるなり、私は自分の頬が自然と綻ぶのがわかった。



“浅原道場”



おじいちゃん家は、昔から空手の道場を営んでいる。


それが結構名が通る道場で、年齢性別問わずたくさんの生徒さんが在籍しているのだ。


そして、実は私もその生徒の中の一人……だったりする。


とは言っても、もう過去の話なんだけどね。


幼稚園から始めたわけなんだけど、中学に入ったら色々と忙しくなるからという理由で、小学校を卒業するタイミングでやめてしまったのだった。


今考えると、勿体ないことしちゃったなーなんて、ちょっと悔やまれる。


……よしっ、行くか!


懐かしむ気持ちを一旦心にしまって、リュックの紐をぎゅっと掴む。


そして、インターホンに指をかけた。