「もうやめて!」 次の瞬間、室内は一時静寂に包まれた。 「……いつもそう。思わせぶりなこと言ってドキドキさせて掻き乱して……私のこと勘違いさせて楽しい?」 「……っ」 「ずっと好きな人がいるんでしょ? だったら、そんなことしないでよ! お願いだからもう──」 ──はっ。 「ご、ごめん! 私、どうかして……。ちょっと外出てくる……っ」 「白雪っ!」 ケータイを掴み、無我夢中で家を飛び出した。