「ねぇ、太一兄ちゃん。私、3年前とどこか変わったかな?」


「ん」



“女の子は大人へと変わる”


ふと、由利の言葉を思い出して尋ねてみた。


大人っぽくなったよって言ってくれる?


それとも、か、可愛くなったなんて言ってくれたら……。


頭で繰り広げられる光景に、顔が一気に熱を帯びる。



「白雪……」



や、やだそんな……まだ心の準備が。


急に真剣な目で見つめられたら私──。



「安心しろ、ちぃーっとも変わんねぇからよ!」


「は?」



それはそれは大きな鉄塊が頭の上に落ちてきたような感覚だった。


そんな私の憐れな姿を、おじいちゃんは笑いを堪えながら見ていた。


何が“安心しろ”よ。ほんっと、乙女心が全くわかってないんだから。


……ま、それが太一兄ちゃんらしいんだけどね。



「ところで、その格好、何?」



私はショックをかき消すように、ずっと気になって仕方がなかったことを尋ねた。


太一兄ちゃんが身に纏っているのは、紺色の着物のような作業着のような和風の服。おまけに、同じ色の四角い帽子までかぶっているのだ。


普段着にしては、どこかマニアックというか……変わっている。