犬系男子を被った王子様



「もしかして、水瀬、くん?」



私の言葉にビクッと肩を震わせる香。
だが、笑顔で微笑む香に私は驚く。




「実はね…あの後から、電話とか帰りにたまーに待たれることがちょっと多くて」


「そんなに香の事が好きなんだね、なら大切にすればいいのに…」



私はむすっとしながら不満を口にする。


「全くよ!でも、ね、」

「?」



香は胸元に手を当てて言った。



「まだ、修也の事が好きな自分がいるの…」




その言葉で昼休みを終えるチャイムが鳴り響いた。