「……いい加減、女々しいぞ」

自嘲。


無駄と分かっていて、踏み込む気などさらさらなかった。
口に出さない想いなど、ないに等しい。


だから適度な距離を、それ以上縮める努力などしない――代わりに。
忘れるために、離れる覚悟もできない。


ないに等しいその想いは、口に出さないからこそ、終止符を打つきっかけがなくて。

ずるずると、宙ぶらりんのまま。


いい加減、そろそろ。
もたもたしてると兄貴の時みたく、せっかちな親や親戚が見合い話など持ってくるからなあ。
……せめてそれだけは阻止したい、そんなお年頃だ。


忘れて次へ行くにしても何かきっかけが必要なのだとは、とっくに理解できていた。