「なんだ、本当に来たのか」


20時、正確に言えば待ち合わせの23分前。
藤沢駅前、北口地上デッキの喫煙所、灰皿横――あの時と、同じだ。


ターミナル駅だけあって、ロータリーから周辺のショップから、眩しいくらいのイルミネーションに飾られている。

聡史がいつもに増した色香を放っているように見えるのもそのせいだろうか。
少しだけいつもよりも着飾ったことも、おかげで後悔しなくて済むというものだ。


先に着いて待っているつもりだったのに、まさかこんなに早く来ているなんて思いもしなかった。