――なかったことにするのには、慣れている。


SNSで彼、鍵本聡史が運営するスノボサークルの掲示板に、次のゲレンデイベントの予定確認板が立つ少し前のことだった。

数日音沙汰なかったクセに、彼のアカウント『Key』から何事もなかったような直コメが入ったのは。


文脈を要約すれば、イベントの日程候補から、事前に私が都合悪い日を除いてくれるつもりのようだった。

管理人らしからぬ、私情を挟んだ個人的な特別扱い。

それは私と『また会いたい』と思ってくれているようにも取れるが、あの日の詫びか何かのつもりかも知れないとも思えて正直微妙だった。