「ごめん」


彼は寝ていたのだと思う。
その隙に勝手にキスしたことも、謝罪の言葉も、きっと届いてはいない。


部屋中の、『私』の痕跡を全て消して。
彼が起きるのを待たずに、私はそのホテルから逃げ出した。