フラついたところを支えてくれたのがつい今の今まで『酔っ払い』と心中で罵倒していた相手なのが気まずくて、掴まれた腕を振り払った。


立ち上がった途端に酔いを自覚した私とは逆に、この男は立ち上がった途端に正気に戻ったような様子なのもいちいち気に障る。


「終電なのよ、オッサン」


呼ぶなと言われた呼称を避けたら、それ以外に思い浮かばなくて。

最後に、男の引きつった笑いを見た気がした。