「……上手いな、竹内さん」

軽快に一番大きなジャンプ台を越えた竹内さんの滑りをリフトから見下ろし、隣の店長が呟く。

「男のメンツ丸つぶれですか」

「おっさんの経験値なめんなよ」


竹内さんはボードの時いつも、本当に『滑ることだけ』を目的に来ている。
故に、自分のペースで単独行動をとることが多い。

今日も初っ端に山頂まで行って1回一緒に滑った後は、

「じゃあ私、パークに行くから」

と一言残して颯爽と消えてしまった。