WILL ~あなたの願い、叶えます~

顔を上げると、心配そうに私と2人を交互に見た店長が、大きなため息を吐き出している。


「七瀬」

2人を手で制してから、店長が運転席のドアを開けて身をかがめる。

「話せる? 知り合いなんだろ」

由紀ちゃん、と、車の外から呼びかける声が聞こえた。
ここまでまわりこまれて、拒否なんか出来ないのは初めから分かってた。


何も言えない私に構わず、店長は車内に上半身を突っ込んで、センターコンソールのドリンクホルダーに収まっていた灰皿に手を伸ばす。

「――近くにいるから」

近付いた隙に。
外の2人には届かない小声で、彼はそれだけ伝えて離れていく。


どうせ、逃げられないから。
背中を、押されたから。


「お話、……聞きます」