「だってよ。サンタは子どもに夢を与えるんだぜ?」



私の家はサンタは空想上の生き物です
って言われたためかあまりピンとこないが、



思い入れのあるマスコットキャラクターが妙な扱いされるのは辛いのは理解できる。



「俺の家、昔サンタが来てたんだぜ?」



でも、それは遠い遠い昔の話。



「箱の中身を開けたら、門松が入ってたけどな。それでも、プレゼントって言う箱のワクワク感は忘れられない。」



「ふ~ん?」


とかなんとか言いながら相槌を打った。



「『川に流れるサンタ』じゃかわいそうだろ?」



私はため息をついて宇崎のおでこをはじいた。



「バカだな。サンタの正体はあなたのお母さんでしょ?」



「違うよ。お父さんだよ。」



その日は、ひどく寒い日だった。
川に飛び込む奴を見たから余計に。



サンタの服を着て震える大バカ者は本当にどうしようもない。



コイツは何も言わないが私にはわかる。
間違いない。
コイツはバカの化身だ。