水泳のお時間

怒られると思った。

わたしに水泳を教えるようになったこと、きっと絶対後悔させてしまったと思った。

だけどそう思われても仕方ない。

また同じ過ちを繰り返してしまったわたしが悪いのだから。


「……」


言い訳の言葉もなくて、わたしは顔をうつむかせたまま体を小さくする。

するとふいに瀬戸くんの手が動いたのが見えて

怒られる。そう思ったわたしは体をすくめ、とっさに目を押し瞑った。


「…っ?」


だけど、その指先はわたしの肩にそっと触れただけで。

感じたその微かな重みに、わたしは押し瞑っていた目をおそるおそる開けてみる。


「!瀬戸く」

「桐谷は何か勘違いしているみたいだけど、俺がこんな事を言うのは桐谷に同じことを何度も教えるのが面倒だからとか、そういうわけじゃないよ」

「………」

「ただ俺だって一日でも早く桐谷に泳げるようになってほしいと思うから。だからわざと厳しいことを言うんだ」


瀬戸くんの言葉に、わたしは何も言えない。


すると瀬戸くんはわたしと同じ高さになるよう目線を合わせてくれたかと思うと

優しく顔をかたむけてくれた。