「ま、待って!」


気がつくと、わたしはとっさに瀬戸くんを呼び止めていた。

わたしの声に、瀬戸くんが足を止めてこっちをふりかえる。


「なに?」

「あ、え、えっと…その…」

「ん?」

「や、やっぱり、何でもないです…」

「はは。なんだよ?」


途中で言いかけようとして

やっぱり止めてしまったわたしに、瀬戸くんは肩を揺らして笑った。


だけどそのとき見た笑顔があまりにもキレイで、見とれてしまって…


思わず赤くなってしまった顔を見られてしまわないように、わたしは慌てて下を向く。