水泳のお時間

「うん。そうそう。だいぶさっきより進むようになった」


するとわたしの泳ぎを見て、瀬戸くんの表情がようやくやわらかくなった気がした。


褒めてもらえた事に安堵の気持ちを浮かべつつ

わたし自身…自分の泳ぎの変化に正直驚いていた。


…自分でも、確かにさっきよりちゃんと進んでいる気がする。


言われてみれば、わたしのバタ足は無意識に

普段から膝を曲げたまま足首に力を入れて泳いでいた分、

やたら水しぶきばかりが上がって正直、無駄の多い動きになっていた。


それだと体がすぐに疲れてしまうし

水の抵抗が大きくなってますます強く足をバタつかせてしまう…この悪循環。


そっか…。

だから今までどうしても前に進まなかったんだ。


「…?」


その実感に驚きを隠せずにいたら、ふいに瀬戸くんと目が合った。


そのまま優しく微笑み返されてしまい、わたしはとっさに頬を赤く染める。


…小さいころから、どんなにがんばっても泳ぐことが出来なかったのに

それをこんな短期間に…しかもわずか二日足らずで

わたしをここまで簡単に進歩させてしまう瀬戸くんは、やっぱり凄いのかも…。