水泳のお時間

「えっ…」


あまりの近さにビックリして、思わず声がうわずってしまう。

どこを見ればいいのか分からず、そのままキョロキョロしていたら、瀬戸くんが静かに微笑んだ。


「そうやって、よそ見していたらまた忘れちゃうよ」

「瀬戸く…」

「ほら、ちゃんと持って?」


ドクン。


わたしの声をさえぎって、まるで息を吹きかけるように瀬戸くんが甘く囁いた。


そのままわたしの手の甲に重なる、瀬戸くんの大きくて細長い指先。


その感覚に思わずわたしの頭をよぎったのは紛れもない、昨日の忘れられないような体験…。