水泳のお時間

――結局、瀬戸くんに本心を聞くことは出来ないまま水泳の練習を始めることになった。


「さて、昨日の復習に少し泳いでみようか」


瀬戸くんはそう伝えると一度わたしの元を離れ

プールの台に置いてあるビート板を取りに、水の中を掻き分けながら走っていった。


残されたわたしはと言うと、どうにか気持ちをきりかえたくて、何度も自分に言い聞かせる。


たしかに瀬戸くんの気持ちは気になるけど…

でも、とにかく今はちゃんと練習に集中しなきゃ。


だってあの瀬戸くんがわたしなんかのために放課後の時間を割いてまで

練習に協力してくれているのだから。

その気持ちをムダにしないためにも今年こそは絶対、ぜったい泳げるようにならないと。


それでもし、

もしも、本当に泳げるようになったら…わたし…