水泳のお時間

思い切ってつま先を差し出したわたしは、確かめるように水面に触れてみる。


そしてそのままゆっくり、ゆっくり

足先から膝にかけてを水の中へと慎重に差し入れていった。


「…っ」


だけど、そこまで来てあたしは行きづまってしまった。

何とか太ももまで水に浸かることは出来たけれど

そこから先に進む事がどうしても出来なくて。


やっとの思いで腰をあげようと手に力を込めるものの

自分の体とは比較できないくらい大きな水面を目の前に、どうしても脚がすくんでしまう。


後ろで瀬戸くんが見ているのに。

昨日より一歩でも成長した自分を見せなくちゃいけないのに。

そう思った瞬間、わたしは泣きそうになってしまった。


どうして?どうしてわたしはこんな簡単なことすら出来ないの?

もう瀬戸くんに呆れられたくない。

あと少し、

あと少しなのに…っ