水泳のお時間

「…!!」


だけどその瞬間

突然手足がひきつったように痙攣し、動けなくなった。


同時に、体中の酸素が巡らなくなったように息が止まり、目の前が暗くなる。


「ッ……!」


わたしはとっさに自分で自分の首をおさえて締め付けると、水中でジタバタともがいた。


どうしよう

早く

早くここから出なきゃ


でないと本当に今度こそ溺れる。そう思った。

今すぐ楽になりたい。


このまま泳ぐのを止め、立ってしまいたい…!


あまりの苦しさに耐えきれず、今までの迷いが一瞬でも頭の中をよぎったとき、

わたしは思わず地面に足をつこうとした。


だけど……



“俺も見たい”


「…っ!!」


瀬戸くんが向こうにいる。


瀬戸くんが今、向こうでわたしの泳ぎを見ていてくれているのに、こんなところで諦めたりしたらだめ。


どんな事があっても、絶対に後悔だけはしない泳ぎをしようって決めたんだ!


そう思ったとき、頭の片隅にぼんやりと浮かぶ…

ずっと背を向けていたはずの、もう一人のわたしが…こっちを振り向いて。


そのままゆっくりと差し出された手に、

ハッと目を開けたわたしは直前で足をつくのを止め、もう一度泳ぎ始める。


「―――」


もう何も考えられなかった。

もがいて。

もがいて


ただ前だけを見て。



しだいにぼやけていたはずの壁が青く、はっきりと映って見えたそのとき、わたしは大きくこの腕を伸ばす。


そして……



「―――!」

わたしの手が100メートル先のゴールに届いた。