水泳のお時間

不安に思うわたしをしりめに、瀬戸くんはなおも話を続けた。


「それから最後に…タイムを設定しておこうか」

「タイム…?」

「そう。制限時間は…この校舎の鐘が鳴るその時まで。その鐘が鳴ると同時に桐谷はスタートし、次の鐘が鳴り始める前までにゴールしていること。それが絶対条件」


瀬戸くんはそう説明すると、わたしから視線をずらして、そのすぐ後ろ上を見た。


…瀬戸くんが見つめていた先は、わたしの後ろに設置された真上の……大きな時計。


その視線を追うように、わたしも後ろを振りかえってその時計を見上げる。


「泳ぎ始めてからいつ例の鐘が鳴るのかは、教えないでおくよ。秒数を意識することで桐谷は焦って、思うようなイイ泳ぎが出来なくなってしまう可能性があるから」

「……」


それってつまり、スタートを知らせる鐘の音が鳴ったとして


いつまた次の鐘が鳴り出すのかは、泳ぐわたしには一切分からないと言うこと…?


それが分かったとき、真っ先にわたしの頭にはある疑問が浮かんだ。