「知鶴~これからみんなで映画見に行こうって話してんだけど、知鶴も行く?」

「えっ?あっ…えと。ごめん、わたし…今日はちょっと用事が…」

「用事?何かあるの?」

「う、うんごめんねっ、今度は絶対行くからっ」


いつもなら喜んでついていく友達の誘いも、今日は断ってしまった。


こんな事は初めてで…不思議そうに顔をキョトンとさせていたマキちゃんに

わたしは心の中で何度も謝りつつ、足は五階の更衣室を目指して走り出す。


「ハァッ、ハァッ…」


更衣室へと駆け込み、そのまま慌ててドアを閉めると、上がる息を必死におさえた。


…どうしよう。

とりあえず、落ち着かなきゃ…。


逸る心を落ち着かせ、大きく深呼吸したあと

わたしはおそるおそる袋からある物を取り出す。