あれから、自分はどうやって学校を出たのか、よく覚えていない。


気がつくと、自分の家の前に立ち尽くし、放心していた。


それでもわたしの手には今も、大切な人からもらった黒いゴーグルが握りしめられていて、

無意識に頬から流れ落ちた小さな雫が、それを冷たく濡らした。


「……」


“その感情は、前に進もうとしている桐谷を阻むものでしかないから。捨てることにした”



泳いでもいないのに、息がつまっているような気がして。


水の中を潜っているわけでもないのに、出口を見つけられずに、

ここから永遠に出られないような気がして。



…まるで、溺れているみたいだと思った。