水泳のお時間

「あ、ありがとう…っ」


わたし、これからも頑張る…っ!


そう言って大きく両手をにぎりしめて、決意を新たにしたわたしを前に、

瀬戸くんは何も言うことなく、ただ静かに目を細めていた。


嬉しい。嬉しい…!

瀬戸くんのその言葉だけで、わたし…もっともっと頑張れる。


…でもどうしてだろう?

やっと褒めてもらえたのに、本当はすごく、すごく嬉しいのに。

それでもわたしの心はやっぱりどこか腑に落ちないような…

何とも言えない気持ち。


だっていつも見せてくれる瀬戸くんのその笑顔が、今日はどこか悲しく映ってしまうから。


…瀬戸くん、どうしたの?

どうしてそんな顔するの?

…わたしが許可なくプールに入ったこと、本当はやっぱり怒っているのかな…。


「桐谷、そろそろ練習に切り替えよう」


そのワケは気になっても、臆病なわたしは瀬戸くんの言葉に、黙って頷くことくらいしか出来なくて。

そんな自分を、とてももどかしく感じるけど


だからその分精一杯頑張ろうと思った。

早く泳げるようになって、一日でも早く一人前になったわたしを瀬戸くんに見てもらって


……そうしたらきっと、笑ってくれるかな。