水泳のお時間

「見入ってたんだ。桐谷の泳いでいる姿から、目が離せなかった」

「?えっと…」

「前に桐谷が俺の泳ぎを見て言ったことと同じ理由。そう言えば分かるかな」


―――!


その瞬間、わたしはハッと顔をあげる。

瀬戸くん、それって…わたしと同じ理由って


それは以前、わたしが瀬戸くんの泳いでいる姿を目の当たりにして、とても感動した事があるように

今度は瀬戸くんもわたしの泳ぎを見て、ほんの少しでも何かを感じてくれたって事ですか…?


まるでそう尋ねるようにわたしが瀬戸くんを見つめると、

瀬戸くんはあの日見せてくれた時とまったく変わらない…その柔らかな眼差しで、こう言ってくれた。


「いいフォームだった。嫉妬するくらい、今までで一番イイ泳ぎだった」

「!」


“桐谷も指導が終わる頃には、こんな風に泳げるようになるよ”


その瞬間、ふと頭をよぎった瀬戸くんの、あの時の言葉に、わたしは思わず口元を両手でおさえた。


うそ…!本当に?

わたし、そんなにちゃんと泳げていたの?

自分では実感が湧かなくても、それでも瀬戸くんはわたしの泳ぎを褒めてくれた。

瀬戸くんがわたしを、褒めてくれるなんて……!!