水泳のお時間

そっか。そうだったんだ。

泳いでいる時も、そうじゃない時も、いつだって視線の先には、瀬戸くんがいる。


わたしの目指す先にはいつも瀬戸くんがいてくれるから、追いつきたいと思うんだ。

一人で泳ぐのはやっぱりまだ少し不安だけど…

でも決して一人きりの力でここまで泳いできたわけじゃないから……。



泳ぎ進めていくうち、水の泡たちで瀬戸くんの姿がふいに隠れそうになり、

わたしは息苦しくなるのを必死にこらえ、精一杯この手を伸ばす。


近づいては、また少しずつ離れる距離に、わたしは泳ぎながら自分の心に強く言い聞かせる。

「…っ…」


まだ、だめ…

あと少し…

もう少しでゴールだから……諦めたりしたらだめ。


…近づきたい。

もっともっと瀬戸くんに追いつきたい。


――わたしは、瀬戸くんのことが……


「……!」


その瞬間、わたしの手がプールの壁に届いた。