水泳のお時間

瀬戸くんの言葉に、目の前の女の子が慌てたように口を開いた。


「ち、違うの!これは桐谷さんが泳げないとかウソついて瀬戸くんに近づこうとするから、うちら許せなくて……っ」

「何か勘違いしてるみたいだけど、そもそも水泳を教えるのを誘ったのは桐谷じゃなくて、俺だよ。毎日桐谷を家まで送り届けていたのだって、俺がそうしたかったからで、桐谷の意志じゃない」

「…!!」

「それに…」


そこまで言いかけて、突然瀬戸くんはこっちに歩み寄り、わたしの背後に回る。


そしてわたしのノド元に向かって後ろから手を伸ばしてきたかと思うと、

今も大きく目を見開いているみんなの前で、戸惑うわたしの胸元のボタンを器用に外しながら……

それをおもむろに横に開いてみせた。


「これを付けたのも、俺だから」

「!!」


そう微笑んで、まるで見せつけるように大勢の女の子たちに向かって堂々と晒してみせたのは、

昨日瀬戸くんがわたしに付けてくれた、いくつもの赤いキスマーク。


その赤い痕は、鎖骨下だけじゃなく、わたしの胸の…もう少し下の方にまで伸びていて…


思わずカァッ!と顔の熱を感じたと同時に、


目の前の女の子の…まるで悲鳴のような甲高い声が聞こえた。


「うそっ…?!うそでしょ?!瀬戸くん…なんで…っ?!何でよりにもよって桐谷さんと…?!」

「なんでって、そんなの…決まってるだろ?…それに俺は桐谷とここじゃ言えないような事も、もうしてる仲だし」


耳を疑ってしまうような瀬戸くんの爆弾発言に、

ここにいる女の子たちはもちろん、わたしまでビックリしてしまった。


胸元は今も開かされたまま、思わず目を丸くして瀬戸くんの顔を見上げる。


えっ、ええ?!せ、瀬戸くん…?!