水泳のお時間

「い、今まで黙ってて、ごめんなさい…」


びしょ濡れになってまでわたしを助けてくれた瀬戸くんに、

これ以上ごまかす事はできないと思った。


観念したようにコク、と頷きかえしたわたしは、

しばらくの間オロオロと言葉をなくしていたあと…しばらくして恐る恐る瀬戸くんの顔色を伺う。


だけど、瀬戸くんの表情は険しいままだった。


「何で黙ってたの?」

「黙ってたのはその、心配かけたくないと思って…」

「心配かけたくないって、どっちにしろ心配はかけるだろ?」

「う…でも、どうして分かったんですか…?わたし、誰にも言ってないのに…」

「分からない?それは昨日帰るときに水着の切れ端がね、桐谷のカバンからはみ出してたからだよ」

「えっ」


うそ?そ、そうだったの?


あの時はとにかく小野くんに水泳を教わるという事がとてもショックで、

頭から離れなくて、それどころじゃなかった。


なのにそれをまさかあの時、瀬戸くんに見られて、気づかれていたなんて…。


は、恥ずかしい…!


その瞬間、とっさに顔を背けて逃げようとしたわたしの頬を、瀬戸くんの細長い指先がつかんで捕える。