水泳のお時間

「――桐谷?」


そのとき、耳元で誰かに名前を呼ばれた気がして、わたしはハッと目を覚ます。


すると真上には一度だけ見たことがあるような無いような…白い天井がうつっていた。


……?


「…桐谷」

「へっ…?えぇっ!?」


頭の中はまだ起きないまま、目を開けたきりポカンとしていると、

さっきよりもはっきりと名前を呼ばれて、わたしは勢いよく飛び起きた。


だって起きたら、なぜか目の前に瀬戸くんの顔が…!


「えっ、えっと…?」


どうして瀬戸くんが?


!瀬戸くんの…て、手にぎってる!


頭はすっかり寝起きのまま、あたふたするわたしが可笑しかったのか、

瀬戸くんはとたんに目元を崩して笑った。


「慌てすぎ。…でも桐谷が気絶してから、なかなか目を覚ましてくれないから、さすがにちょっと心配した」

「えっ?わ、わたし…?」

「そう。そのくせ本人は今まで気持ちよさそうに眠っているから、なおさらね」


瀬戸くんのちょっと毒の付いた言葉に、わたしはますます混乱する。


そのまま一人キョロキョロしていると、

ふと瀬戸くんの後ろの方に誰か他にいるのが見えて。


…気がつくとここから少し離れた場所から、小野くんがどこかバツの悪そうな顔をして、わたしたちを見ていた。