水泳のお時間

「やっ…!んぐっ……」

「あっ、おい……!」


ジタバタと必死にもがいて抵抗するうち、わたしはふいに足裏を大きく滑らしてしまう。

その拍子で体が沈み、思わず開いてしまった口の中に、

ノドの奥めがけてプールの水が勢いよく流れこんだ。


「げほっ…た、助けてっ…瀬戸く…」

「お、おい、何やってんだよ」


いきなり大量の水を一気に飲み込んでしまった事と、自分が溺れたという恐怖で、

すっかりパニックになって暴れるわたしの体を、小野くんがつかんですぐさま水面へ引き上げる。


それでもわたしは、飲み込んだプールの水がノドの奥に詰まったままつかえて取れなくて

その場でむせ出した。


そうしている間にも、小野くんが何か大きな声をあげながら、わたしの体をゆすっていて、

でもその声もしだいに遠くなっていく。


「…ひっくっ…」


あまりの苦しさにわたしは必死に肩を動かして呼吸しようとするけど、うまく息が通らない。

暗くなる視界に、だんだん意識が朦朧としてきて、わたしは思わず涙をこぼした。


苦しい。

息ができない。

怖いよ。

たすけて


助けて瀬戸くん……!!



思わず瀬戸くんの名前を呼んだそのとき、向こうで誰かがプールに飛び込んだ音がした。