水泳のお時間

「ほら、何をボーッとしてるの?俺が頭を支えてあげるから、桐谷は足を動かして」

「あっ、は、はい…っ」


ビックリしていつの間にか固まっていたら、瀬戸くんに注意されてしまった。


驚いて顔をあげると、目の前に映る瀬戸くんはまるで何も無かったようにこっちを見下ろしていて…。


そんな瀬戸くんに戸惑い…、けれど逆らえないわたしは言われた通り足を動かしてみる。


「そう。そのまま…俺を見て」

「えっ」


両手はわたしの後頭部を支えたまま、瀬戸くんが言った。

瀬戸くんの言葉に、わたしの顔は一気に赤面してしまう。


だって足を動かしたまま、瀬戸くんを見る…?!

そ、そんなの無理、できない…!

恥ずかしい!


「出来ないの?それなら今日の練習は終わりにしようか」

「!やっ、いやです…」

「なら早く見てよ。俺だけを見て」


有無を言わせない瀬戸くんのズルイ言葉に、わたしは何も言えなくなる。


だってこんなに好き。わたしを追い詰める言葉さえ嬉しく思ってしまうほど、こんなに好きだから。


ただ、まっすぐにわたしを見下ろしてくる瀬戸くんの眼差しが熱くて、今にも溶かされてしまいそうで。


しだいに速くなる胸の振動を感じながら…


わたしは、ゆっくりと視線を合わせた。