すぐさま教室に戻ってきたわたしは、急いで周辺を探し回る。


だけどやっぱり無い。見つからない。


ゴーグルがない。


「何してんの?」


それでも必死に机の中をあさって探していたら、背後からあの声がした。


その声に反応して、恐る恐る後ろを振り返ると、そこに立って居たのはやっぱり…小野くん。


思わず絶句してしまったわたしに、小野くんがフッと笑う。


「それとも何か探してる?…これとか」

「!」


そう言って、小野くんが片手に握り締めていたのは…黒いゴーグル。

ハッとしたわたしは、すぐさまそこから立ち上がる。

そのままとっさに伸ばした手は、小野くんによって掴まれてしまった。


「か、返して…お願い…っ」

「そんなに大事なモンなの?そんなにこのゴーグルが大事なんて、変わってるね」

「だってそれは…」


大切な人から貰った物。


瀬戸くんから貰った、大事な物だから…!