「お、小野くん…」


目の前には教室のドアに寄りかかりながら、こっちを見つめる小野くん。


外はもう薄暗いし、教室の電気も付けずに入ったから、表情まではよく見えなかったけれど

その独特の低い声とシルエットで小野くんと分かった。


その瞬間、わたしはとっさにしゃがみ込んでいた体を立ち上がらせる。


小野くん…どうして?

いつから居たの…?


「…今朝のビキニって、あのために着てたんだ」

「!」


どうしてそれを…?!


その言葉に動揺して肩が震え上がったわたしに、小野くんは面白おかしく笑い出した。


「全然気づかなかったよ。まさか放課後、生徒や水泳部が使うはずの学校のプールで瀬戸とあんな練習…してんなんてさぁ」

「!まさか、見て…!」

「たまたまね。見たんだよ。部活の荷物取りにいこうと思ったら、そこに桐谷さん達がいたから」


その瞬間、パチッと何か付けたような音がした。


するとすぐに、天井の電気がついて教室が一気に明るくなる。