水泳のお時間

その日の放課後、教室を出たわたしは更衣室へ入ると、制服を脱いだ。


そのまま黙って水着に着替えながら、誰もいない一人だけの静かな更衣室で、ふと思い出してしまうのは…今朝の出来事。


「……」


その瞬間、わたしはギュッと両手を握り締めた。


…誰かに突然押し飛ばされた時の感触が、今も消えない。


『調子乗ってんじゃねーよ』


あの時、誰かにそう言われた理由は分かってる。

そうされた原因は、一つしか思い当たらないから。

だけどいつまでも落ち込んでいたくなくて、わたしは気持ちを引き締めるように、水着のヒモをきつく結びあげた。


「……？」


身なりも整い、そのまま更衣室のドアを開け、プールサイドへ足を付けたそのとき

向こうの方から、ふと誰かが泳いでいるような音が聞こえて。


不思議に思い、プールサイドを歩き出したわたしがそこで見たのは、泳いでいる瀬戸くんの姿……。