水泳のお時間

この時、校内は朝の放送や周囲の雑音で騒がしかったし

登校してきた生徒もたくさん居たから誰がこんな事をしたのかは、分からなかった。


だけどわたしが床に倒れこんだ瞬間に

後ろでバタバタと騒がしく階段を駆け上がっていく音がしたのは、確かに女の子たちの集団で…。


「調子乗ってんじゃねーよ」


その時、校内に流れる放送や周囲の雑音と混じって、真上から聞こえてきたその言葉に、

わたしは倒れこんだきり立ち上がることが出来ずに、茫然としていた。


もしかして、わたし今…わざと突き飛ばされた…?


「おいおい。大丈夫?」

「え…?」


しばらくそのまま動けずに座り込んでいたら、上から声がした。


その声に導かれるように、わたしはうつむいていた顔をおそるおそる上げる。


するとそこには同じクラスの…小野くんが膝を曲げながらわたしを見おろしていた。