「マキちゃん、あの…明日の土曜と日曜、遊べるかな」

「どうしたの?!知鶴から誘ってくれるなんて珍しいじゃん!いいよ!アヤたちも誘って遊ぼっ!」


翌日の土曜や、次の日の日曜は、学校も水泳の指導もなくて


その二日間は、久しぶりにマキちゃん達と映画を見たり、お買い物をしたりして寂しさを紛らわしながら


それでも夜、部屋で一人、目を閉じながらどうしても心寂しくなってしまった時は

瀬戸くんからもらったゴーグルを抱きしめる事で、何度も何度も心を落ち着かせた。


そうして訪れたのは、待ちに待った…月曜日。



「知鶴~朝ごはん出来たわよ」

「あ、う、うん!」


時刻は朝の7時15分。


キッチンの方から、玉子焼きの焼けた美味しそうな甘い匂いとお母さんの声が聞こえる。

それを聞いたわたしは慌ててスカートのファスナーを閉めると、急いでトイレから出た。


「ふふっ」


洗面所の水で丹念に両手を洗いながら、ふと鏡越しに見えた自分の顔が無意識に緩んでしまっていて

ますますわたしの顔は緩んでしまう。


わたしがこんな気持ちになれるのはもちろん、瀬戸くんに会えるから。

でも理由は、それだけじゃなくって…。


「~~~っ」


その瞬間、わたしはあまりの嬉しさに飛び跳ねそうになってしまい、とっさに両手をギュッと握り締めた。


良かった。ほんとうに良かった。予定よりも生理、早く終わってくれて。

これでやっと、プールに入れる。

やっと、やっと水泳の練習が、できる…!

嬉しい…!!