「それから、明日と明後日は水泳の指導は休みにしよう」

「え…?」


支えていたわたしの体から手を離したと同時に、瀬戸くんがそう呟いた。

瀬戸くんの言葉に、わたしは顔をあげる。


「今週は月曜からずっと水泳の練習だったし、時には体を休めることも必要だから」

「あ…は、はい」


今日は金曜日で、明日は土曜日だから、必然的に学校は休校になる。

さらにその上、水泳の指導も無いなんて…。


それはつまり、その間瀬戸くんに会えなくなってしまうという事、だから…。


「……」


その瞬間、とたんにわたしは落ち込んでしまう。


毎日会えても寂しいのに

二日間も瀬戸くんに会えないなんて、もっとさみしい。

だけど土日は瀬戸くんだって、きっと他のことしたいと思うよね。


それでも平日の放課後は全部わたしの指導に費やしてくれているのだから

それ以上を求めてしまうのはとてもワガママで、贅沢なこと。


でも、わたし…


「瀬戸くんに二日も会えないなんて、さみしいです…」


この時、自分でも気づかないくらい、無意識に自分の気持ちを言葉に出していて。

ふと目に映った瀬戸くんの表情に、思わずハッとした。