水泳のお時間

「――!えぇっ?!」


その瞬間、わたしは思わず大きな声をあげてしまった。


その声に驚いて慌てて自分の口を手で押さえたけれど、もう遅かったみたい。


目の前では瀬戸くんが楽しそうに顔を傾けながら微笑んでいる。


「理由、やっと分かった?」

「~~~っ」


あっという間に顔がリンゴのように赤くなってしまったわたしを見て

瀬戸くんは相変わらず余裕な表情を浮かべていて、ますます恥ずかしくなってしまう。


だって、だって今瀬戸くんが言ったこと

それって、つまり……


「ほら、着いたよ」

「えっ…?あっ…」


そこまで思いかけて、突然聞こえた瀬戸くんの声にハッと我にかえる。

とっさに顔をあげると、いつの間にか自宅の前に着いてしまっていて。


不意打ちだったけれど、丁寧に優しく降ろされてしまった体に、わたしは慌てて地面に足をつけた。