水泳のお時間

突然鳴りだした携帯の音に、瀬戸くんの指先が止まった。


それでも着信音は鳴り続けたままで…。


体は今もベッドに仰向けにされた状態で動けずにいたら


そんなわたしに覆い被さっていた瀬戸くんがふいに顔をあげる。


そしてそのまま音のする方へ向いた瀬戸くんの視線に、わたしはとっさにハッとしてしまった。


だって瀬戸くんが見ていた先は、学校を出た時に携帯電話をしまっておいた…わたしの通学カバン、だったから…。


「せ、瀬戸くん…あの…」

「……」


…どうしよう。


本当は瀬戸くんの家へ行く前に、あらかじめ携帯の電源を切っておくつもりだったんだ。


それなのに私ときたら瀬戸くんの家へ行けるって聞いただけで嬉しくなって、つい舞い上がって…


「携帯、鳴ってるよ」


カバンと瀬戸くんの顔色を何度も目で行き来しては


今もなお鳴り続ける携帯の着信音にオロオロしていたら

瀬戸くんはそんなわたしに視線を戻したかと思うと、さりげなくブラウスから手を抜いた。


そしてそのまま離された瀬戸くんの体に、わたしは戸惑いながらも上体を起こす。


「あ、あの…」

「いいよ。電話、出ておいで」

「……」


わざと私の声をさえぎって向けられた瀬戸くんの言葉に、わたしは何も言えなくて。


ただコク…と小さく頷き返すとベッドから起き上がり、急いでカバンから携帯を取り出した。