水泳のお時間

「ご、ごめんなさいっ、わたしビキニは持ってなくって…」

「あっはは。ジョーダンだっつの。桐谷、顔赤い」

「えっ?あっ…」

「桐谷のスクール水着、似合ってるよ。なんか、かわいいし」


エッ?

瀬戸くんのその言葉に、わたしは顔がもっと熱くなった。


今、瀬戸くんがカワイイって…

カワイイって言った?


「それじゃあ、軽く準備運動しような」

「う、うんっ」


本当にそう言ってくれたのか確かめたかったけれど

わたしにはそんな事を聞く勇気なんて無くって。


初めてこんなに近くで見る瀬戸くんの厚くたくましい体に

ただただ胸がドキドキしてしまって…。


…だから考えもしなかったの。


これから始まる瀬戸くんとの時間が、単なるプールの指導ではなく、別の意味の指導だったってことを。