「は?マジで?!」

「しっ!声おっきい!マジで」


ザワザワと五月蝿い教室の中で、それに負けないくらいの大きな声を出した、あたしの前の席の子。

黒髪が腰のところまで伸びたストレートロングがよく似合う、キリッとした目と眉毛。

美人さんの部類だ。


「なんで、こんな時期に転校なんか」


声を潜め、顔を寄せてきた。


名前は、成宮咲希(ナルミヤ サキ)。

あたしの信頼する親友だ。


「なんか、部長命令だと」


鼻息をふーんっと、する。

咲希は、少し困った顔をして、寄せていた顔を離すと、


「まっ、でも、まだ時間あるじゃん。いっぱいお出かけしよ」


と、気分を変えるように、声の調子を上げた。