「でも、お父さん一人だと可哀想だから……」

「そうだけどさ、お父さん寂しがりだから、一日一回電話してきそうだけどさ」


若干、お父さんの悪口(?)を言って、


「でもさ……娘のことも考えてよ……」


と、蚊の鳴くような声で、訴えた。

お母さんは、あたしの肩に手をおく。


「夏音。お母さんとお父さんはね、しっかり考えて答えを出したのよ?」

「じゃあ……」

「考えて、考えて、今は、家族一緒の方がいいって思ったの」


お母さんの真剣な眼差しに、

お父さんの真剣な声に、


あたしは、「うん」と、頷くことしかできなかった。