「あー、寒い」
玄関の戸を急いで開けて、ゆっくりなるべく音を立てずに閉める。
「夏音、ありがとう。めっちゃ寒そうだな」
丁度、階段から十弥が降りてくる。
寒さで小刻みに震えるあたしの様子を見て、ケラケラ笑う。
「寒いってもんじゃないよ、あれは」
「ご苦労様です」
「思ってないくせに」
「いやいや、沢山思っておりますよ」
コイツ……馬鹿にして……!
あとで絶対に外に出してやる。
そう、密かに誓った。
「十弥もありがとうね」
「ん?なにが?」
鈴を寝つかせてくれたのは、十弥だから。
あのままだったら、いつまで起きてたかわからない。
十弥が居てくれてよかった。
「鈴」
「あ、ああ。どうってことよ」
そう言ってるけど、少し耳赤いよ?
ありがとね、十弥。


