夕焼けが綺麗に輝く坂道、片手には色んな野菜や肉、魚が入ったビニール袋。
もう片方の手には小さな白い手。
「ママ〜、鈴、サンタさんにプレゼントもらえるかなぁ」
ゆっくり歩くあたしを小さい手をギュッと繋いで、小さい歩幅で歩きながらあたしを見上げる小さい子。
あたしのことを「ママ」と呼ぶのは、そう、あたしの娘だから。
椎名鈴、今年の春で一年生。
「いい子にしてたら貰えるよ」
「じゃあ、鈴いい子にしてる!」
「えー?じゃあ、人参さんもピーマンもほうれん草も嫌わないで食べないとねー?」
あたしが意地悪くそう言うと、鈴はお餅みたいな頬をめいいっぱい膨らませ、
「う……た、食べれるもん!」
と、反撃した。
そんな我が子の姿ににやける顔を抑える。
この坂を登れば、もうすぐ我が家だ。